話題の「ステージモニター」をソニーが作った
遮音性や装着性の高さ、そしてプロが聴いている音への興味という点で「ステージモニター」と呼ばれるヘッドホンが最近話題になっています。元々はプロやPAエンジニアが使用するものでしたが、ユーザーの要望に応えてソニーから「IER-M9」「IER-M7」2種類のステージモニターが発売になりました。
ソニーストア販売価格:129,880 円+税
ソニーストア販売価格:74,880 円+税
【付属品】
クリップ、キャリングケース、ケーブルホルダー、トリプルコンフォートイヤーピース(SS/S/MS/M/ML/L)、ハイブリッドイヤーピース(SS/S/MS/M/ML/L/LL)、クリーニングクロス、ヘッドホンケーブル(約1.2m)/バランス接続ヘッドホンケーブル(約1.2m)
発売されたステージモニターヘッドホン「IER-M9」「IER-M7」の違いは、バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットの数。「IER-M9」は5基で「IER-M7」は4基搭載しています。
IER-M7が高音域をBAドライバー1基でカバーしている部分を、IER-M9は2基(トゥイーター、スパートゥイーター)でカバーしています。厳密な性能としては「IER-M9」のほうが優れています。
ソニーのショップ会(勉強会のようなもの)で、「IER-M9」「IER-M7」両方を触る機会があったのですが、広域をカバーするBAドライバーが1基多い「IER-M9」のほうが、低音がしっかりと出ていたイメージです。
どちらのステージモニターも「遮音性」が非常に高く、音楽に集中できます。
「IER-M7」のほうがスッキリした感じがして、個人的には「IER-M7」のほうが好きですね。低音域が少し物足りないと思う人もいるかもしれません。「IER-M9」のほうがゴージャスな感じでしょうか。
価格的には約2/3の価格なので、コスパとしては「IER-M7」は悪くないんじゃないかな~というイメージ。
理想のステージモニターサウンドを実現するための技術
ステージモニター「IER-M9」「IER-M7」を開発するにあたり、
ソニーがステージモニターとして必要だと考えた能力は3つあります。
1つ目は、アーティストの出した音がしっかりと正確に、表現した通りに返ってくること。
歌い方のわずかな違いや、息づかいなども含めた小さな声が、お客さんにどのように伝わっているかを自分でも確認できるというのが、ステージモニターの大切な機能の1つ。2つ目は、楽器間バランスをしっかりと把握できること。
ステージ上のボーカルや楽器の音が際立ち、正しいバランスで分離されて聞こえることが大事です。当たり前ですが、これがグチャグチャになってしまうと自分の演奏ができなくなってしまうのです。ステージモニターはアーティストが意図した“音”と“感情”を正確に表現するものでなければなりません。3つ目が、リズム。
演奏のタイミングを合わせるために、ドラムやベースなどのリズム隊が出した音を、ギタリスト、ボーカリストがしっかりと把握できるようにすることも、ステージモニターの重要な機能の1つです。特集:アーティストのためのサウンドをその手にソニーが新たに作るステージユースのインイヤーモニターヘッドホン『IER-M9』『IER-M7』|ソニーストア
上記は開発者のインタビュー記事ですが、これを見ると「ステージモニター」というヘッドホンは、一般的なヘッドホンの上位モデルではないということ。
また、
そのため、具体的には低音の作り方などをこれまでのヘッドホンとは大きく変えています。
とあるように、アーティストやプロのPAエンジニアが求めるような品質の商品だと言えます。
そのような高い品質を求められる「ステージモニター」開発でのソニーの出した回答が、
複数のBA(バランスド・アーマチュア・ドライバーユニット)を搭載するシステムを開発することでした。
素人考えとしては、多くのBAを搭載した製品 = 優秀な製品 と思ってしまうのですが、
一般的に同じ帯域のBAを複数搭載するメリットは存在するのですが、BAから自社で開発し、インイヤーヘッドホンの設計・製造までトータルで同じエンジニアが見るというのは、ソニーだからできること。BAの線材や振動板、形状から材質まで、それぞれのBAがどうあるべきかをとことん追求することができます。その結果、最低限のユニット数で求める高音質を実現できました。
数が多ければ良いとわけではないんですね。
たしかに、沢山BAを積めばその分本体の重量も増すので、長時間の使用が厳しくなりますよね。
また、BAを直接インナーハウジングに取り付けることで、各BAドライバーユニットから再生された音は最適化された経路を通ることで、ロスすることなく耳に伝わるようになっています。
また、筐体の不要な振動を抑えるため、インナーハウジングの材料には高剛性で高内部損失な素材であるマグネシウム合金が使われており、BAをガッチリと固定しつつ、より音の透明度を高めることができます。
使いやすさや装着性の良さも特徴の1つ
「IER-M9」「IER-M7」共に、Φ3.5mmのステレオミニプラグに加え、Φ4.4mmバランス標準プラグを採用したヘッドホンケーブルが付属しています。ウォークマンやヘッドホンアンプなど、用途や状況に応じてさまざまな機器との接続もが可能です。
もちろん、JEITAにて新たに規格化されたΦ4.4mmバランス標準プラグに対応している機器となら、より高音質なバランス出力での音楽再生を楽しむ事ができます。
「IER-M9」「IER-M7」のイヤーハンガー部分には新しく「プリフォームドイヤーハンガー」が採用。
しっかりと安定して、装着時の快適性はそのままに、ステージモニターという特性から、アーティストが素早く装着できるということにもこだわっています。
百見は一聞に如(し)かず?
「IER-M9」「IER-M7」の機能や性能について書いてきましたが、
ヘッドホンなどの”音もの”に感しては一度自分の体で試して欲しいというのが正直な所。
「音の伸びが~」「高音が~」「低音が~」なんて、百聞は一見に如かずではなく
「百見は一聞に如(し)かず」もいいところ、いちどお近くのソニーストア各店舗などで体験してみて下さい。
11月には「IER-M7」「IER-M9」の開発者トークショーが行われるので、こちらを聞きに行く際に体験されるのもいいのではないでしょうか。